【活動の背景と内容】
土木学会岩盤力学委員会では、平成8年に地下発電所をはじめとした大規模地下空洞の調査・設計・施工の技術に関する現状と幾つかの建設事例を掲載した書籍「大規模地下空洞の情報化施工」をとりまとめました。その後も国内では多数の地下空洞の建設が進められてきましたが、その中には地質条件の悪いケース、周辺岩盤に水封機能が求められるケース、重要構造物に近接して施工するケースといった難しい技術を要した事例が含まれ、興味深い施工事例や計測データが蓄積されてきました。
一方、我が国で本格的に大規模地下空洞が建設されるようになってかなりの時間が経過していますが、今後は、これらの空洞に経年による変化が発生してくることも予想されます。そのような状況の中、どのように施設の健全性を診断しながら地下空洞を維持・管理していくかが新たな課題となってきています。
また、今後、国内外で様々な大深度地下の活用が進む可能性があり、大規模地下空洞の建設ニーズが増えていくと考えられます。
そこで、企画運営小委員会では平成24年度から、最近の空洞の建設事例や供用中の空洞の維持管理事例を収集・整理して、これらの技術を後生に継承していくための活動を行ってきました。そして、この度、以下の13件に及ぶ事例の収集・整理が完了しました。
「大規模地下空洞の建設・維持管理事例集(H25年度集約版)」のコンテンツ
<建設事例編①(硬岩系岩盤内の空洞)>
1.京極発電所(北海道電力(株))
2.神流川発電所(東京電力(株))
3.小丸川発電所(九州電力(株))
<建設事例編②(軟岩系岩盤内の空洞)>
4.恩廻公園調節池(本坑)((株)大林組)
5.余裕深度処分試験空洞(日本原燃(株))
<建設事例編③(重要構造物近傍での空洞近接施工)>
6.奥多々良木発電所 可変速化工事に伴う横坑拡幅工事(関西電力(株))
7.奥只見・大鳥増設発電所(電源開発(株))
8.徳山水力発電所(中部電力(株))
<建設事例編④(水封式地下岩盤貯槽)>
9.倉敷・波方国家石油ガス備蓄基地((独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構)
<維持管理事例編>
10.地下発電所空洞での維持管理事例(沖縄やんばる海水揚水発電所,長野発電所)(電源開発(株))
11.地下石油備蓄基地での維持管理事例(日本地下石油備蓄(株))
12.軟岩空洞中に構築した地下空間実験施設での維持管理事例(東急建設(株))
13.維持管理段階での磁歪法によるPSアンカー軸力測定手法と適用事例(関西電力(株))
【成果の公開方法】
企画運営小委員会で収集した地下空洞の建設・維持管理に関する事例(活動成果)につきましては、第42回岩盤力学に関するシンポジウムの講演概要集CDに「大規模地下空洞の建設・維持管理事例集(H25年度集約版)」として掲載することになりました。
つまり、第42回岩盤力学に関するシンポジウム(平成26年1月9~10日@土木学会)にご参加いただければ、もれなく13編(全351ページ)に及ぶ上記の事例集を入手することができます(かなり、お得です!)。また、同シンポジウムでは、本活動に関連したパネルディスカッションも企画しております。是非、この機会に岩盤力学に関するシンポジウムにご参加いただければ幸いです。
なお、シンポジウム終了後もしばらくの間は、講演概要集CDのバックナンバーとして土木学会から購入することもできます(ただし、シンポジウム参加費用と同額)。
第42回岩盤力学に関するシンポジウムに関する詳細やパネルディスカッションの内容、講演のプログラムにつきましては、以下のリンクからご確認ください。
http://www.jsce.or.jp/committee/rm/ronbun/simpo/top_001.htm
多くの方々のシンポジウムへのご参加を、心よりお待ちしております。
*ご不明な点がございましたら、事務局(東京電力 森岡)morioka.hiroshi@tepco.co.jpまでご連絡ください。
以 上